2010年 05月 22日
埋もれたフロンティア 故 和田賢一/伊藤眞理展 |
ギャラリーの展覧会を見始めてもう随分時間がたつけれど、記憶に焼き付き続ける展覧会というのはそんなに多くはない。また当然そのようないい作品、いい作家が高い評価を受けている、とは限らないのである。
業績に対し評価が低い作家と思って私が真っ先に思い当たるのが和田賢一氏である。
中村一美との二人展で初めて見た珊瑚礁のような円還の作品がいまでも脳裏に焼き付いている。
当時、美術館の展示などにも選出されているから不当に評価されていなかったというわけではないが、中村一美や辰野登恵子のような抽象表現主義的な代表的な作家以上の仕事をなし得ていたにもかかわらず、彼らの陰に隠れてしまっている。いまでは若い学芸員などその名を忘れているのではないかと思うと非常に残念だ。
今改めてそのカタログを見ると、圧倒的な美しさとエネルギーに満ちていて、彦坂尚嘉氏の言葉を借りればプラズマ的絵画のかなり早い仕事ではないかと思う。
先進性は当時の作家の中でも高かったのではないか。
実は3年前に亡くなられたことを昨年作家仲間から伝え聞いて、回顧展も知らなかったこと、ご本人にお会いできなかったこと、企画の候補に何度か挙げながらお誘いできなかったことなど強く後悔している。
幸い深川ラボで展示した渡辺聖介氏とのつながりで奥様とお会いする不思議な縁を得た。
奥様とは会場で二言三言、言葉を交わしただけだったのだが、作家らしきたたずまいなどなにか気になるものがあり渡辺さんに伺うと画家であるとのこと、ネット上で見ているうちに偶然にも和田さんの奥様であることがわかったのである。
こういう不思議な直感はごくまれに働くのであるが、これも何かの縁であろうか。
和田賢一氏の仕事についてはこのあと改めて書きたい。
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その故和田賢一氏と奥様で画家でいらっしゃる伊藤眞理様の小さな展覧会が開催されます。
伊藤様の作品も和田さんのDNAを共有されていることがDMからも伝わり、
初めて見る作品が楽しみです。
小品が中心とのことですが、実作に触れる貴重な機会です。ぜひご覧ください。
ギャラリーこはく
和田賢一 伊藤眞理 作品展
5月22日〜30日
11:30〜17:00 木金休
場所はさいたま市見沼区大和田2-1181-11
東武野田線大和田駅下車4分
070-5567-8729
場所はこちらの地図をご参照下さい。(展示情報はまだ掲載されてないようです)
http://www.k5.dion.ne.jp/~g_kohaku/
by kitaibunshi-ms
| 2010-05-22 08:24
| 展覧会