2010年 09月 29日
Uriah heep再興! 20年ぶり、そして最後の再来日 |
Uriah heepがやってくる!!これが大事件だと思う人はそう多くはないだろうが、思い入れの深い僕には初恋の人との30年ぶりの再会のような事件なのだ。
ヒープは僕にとって初めてのアイドル的に好きになったロックバンドであり、初めて演奏した曲のバンドでもある。
すでに不運のヴォーカリスト、デビッドバイロンも悲劇のベーシスト、ゲイリーセインもこの世にはいない。大黒柱ケンヘンズレーもいないしリーカースレイクも引退している。バーニーショウの歌がものたりないとしても、オリジナルメンバーはミックボックスだけだとしても、しかし彼らの曲を生で聴くとしたら彼ら以外に誰の演奏で聞くというのだ?もうこれで最後なのだ。いかねばなるまい。
結成40周年!
リーダーMickBoxはもう還暦をすぎている。
往年の名声にすがるような延命を軽蔑するのは簡単であるが、実際バンドを維持するのは本当に大変なことなのだ。そしてバンドを離れた人たちが成功するのも稀なのである。名声はそう何度もあげられない。世界中にheepを知る人がいる。やはりこれは大きな財産である。
ここに来てheepは力を盛り返してきている。もちろん新しさはないけれど、長い苦難のときを乗り越えて黄金期を思わせる力強さが戻ってきている。これは驚くべきことであり感動的である。その最新作からオープニングチューン「Wake the sleeper」
ユーライアヒープはハードロックを築いた立役者のひとりである。ハードロックを切り開いたレッドツエッペリン、ヘヴィメタルのルーツ、ブラックサバスを別格としても、スラッシュメタルのルーツディープパープルなどと同等にメロディアスハードロック/プログレハードのルーツとしてもっと評価されてしかるべきと主張したい。
ボストン、ジャーニー、ボンジョヴィなどに通じる「最も売れる」産業=スタジアムロックの原型を確立したのはユーライアヒープ、彼らなのである。
ヒープにはいわゆるカリスマ的スタープレイヤーがいない。これもひとつ失速を早めた理由ではある。ハードロックバンドにはギターヒーローがつきものであるが、ミックボックスは特徴の少ない地味なギタリストであるし、ケンヘンズレーもロックキーボード奏者として草分けではあるがテクニック的にはDパープルのジョンロードに見劣りがする。デビッドバイロンはスター的存在ではあるが、上記の3バンドの強烈なカリスマ的ボーカリスト達に比べるとひいき目に見ても見劣りすると言わざるを得ない。
そう、ヒープは個人技ではなく、総合力で勝負しているのである。ヒープはいくつかの特徴があってそれらの組み合わせでオリジナルティを確立している。
まずよく言われるのはコーラスワークである。メンバーのうちの4人あるいは全員唄える強みを生かして、コーラスをサウンドの重要な一要素として使っている点である。これはイエスとともにクイーンはじめ後進のバンドに大きな影響を与えていて現在でもそれは続いている。
これに線は細目だが、美しい声とハイトーンのファルセットボイスのバイロン、リードボーカルも担当するケンのセカンドヴォーカルも絡んで凝ったヴォーカリゼーションを展開している。
また楽曲も歌を重視していて、他のバンドのようなインスト/ソロパートは短くあくまで歌そのものを支える音なのだ。
次はキーボード+ファズギターのコードワーク主体のサウンドであることだ。上記のライバル3バンドがギターのリフ主導の音であるのに対し、分厚いコードサウンドによってメタリックな音の壁を作っている。またこれによってメロディラインもはっきりしたメロディアスな曲調となっている。うなるオルガンはオルガンハードロックといえるような音で当時のハードロックの中では際立っている。
もうひとつ、これはあまり語られないのであるがケンヘンズレーのソングライテシング力である。
ロックバンドは演奏テクニックの評価に偏重しがちであるがバンドの音楽性の根幹には一人であれ共作であれソングライテシングの能力が大きく存在する。ケンの憂いのあるメロディー、起承転結のある曲構成などはヒープサウンドの屋台骨となっている。このドラマ性はプログレッシブロックにも通じるもので、プログレ的と称される一因となっている。
ヒープの失速はケンの脱退も大きい。私もケンが脱退した時点で興味が急速に失われてしまった。
ドラマーが固定しなかったせいもあってリズムセクションはちょっと弱いがシャッフル系の疾走感のあるリズムに特徴がある。また黄金期のベーシストゲイリーセインはメロディアスなベースラインを特徴とするプレイヤーで目立たないけれど個性派ベーシストではある。
そんな彼らのオリジナリティが確立したヒット曲「look At Yourself」この曲がDeepPurpleのInRockを追いかける形で72年に発表
ライブとスタジオでの性格が少々異なっている。スタジオでは知的で端正なプログレハードロックなのだがライブではラフなロックンロールバンド色が濃くなる。この辺も当時の日本のリスナーには意外であったらしく評判は芳しくなかった。
しかしデビッドバイロンを擁するライブパフォーマンスはグラム的な華麗さと猥雑さもあって、戻れるなら当時に戻って見てみたいものである。
彼らの特徴が2分に凝縮された代表曲「Easy livin/安息の日々」のライブ。
スタジオの凝縮感はないが、代わりに彼らの派手な面が見える。ハードロック曲としては珍しくソロパートがなく歌を大事にする彼ららしい曲である。ステージの主役はバイロンで、キザな動きも彼だと嫌味がない。落ちぶれた貴族の放蕩息子といった彼の風貌と美声は大好きであった。そしてバイロン在籍最後のアルバム「High and mighty」では、その唄い上げる歌唱力が堪能できる。このバイロンの姿はもう見ることができない。(続く)
ヒープは僕にとって初めてのアイドル的に好きになったロックバンドであり、初めて演奏した曲のバンドでもある。
すでに不運のヴォーカリスト、デビッドバイロンも悲劇のベーシスト、ゲイリーセインもこの世にはいない。大黒柱ケンヘンズレーもいないしリーカースレイクも引退している。バーニーショウの歌がものたりないとしても、オリジナルメンバーはミックボックスだけだとしても、しかし彼らの曲を生で聴くとしたら彼ら以外に誰の演奏で聞くというのだ?もうこれで最後なのだ。いかねばなるまい。
結成40周年!
リーダーMickBoxはもう還暦をすぎている。
往年の名声にすがるような延命を軽蔑するのは簡単であるが、実際バンドを維持するのは本当に大変なことなのだ。そしてバンドを離れた人たちが成功するのも稀なのである。名声はそう何度もあげられない。世界中にheepを知る人がいる。やはりこれは大きな財産である。
ここに来てheepは力を盛り返してきている。もちろん新しさはないけれど、長い苦難のときを乗り越えて黄金期を思わせる力強さが戻ってきている。これは驚くべきことであり感動的である。その最新作からオープニングチューン「Wake the sleeper」
ユーライアヒープはハードロックを築いた立役者のひとりである。ハードロックを切り開いたレッドツエッペリン、ヘヴィメタルのルーツ、ブラックサバスを別格としても、スラッシュメタルのルーツディープパープルなどと同等にメロディアスハードロック/プログレハードのルーツとしてもっと評価されてしかるべきと主張したい。
ボストン、ジャーニー、ボンジョヴィなどに通じる「最も売れる」産業=スタジアムロックの原型を確立したのはユーライアヒープ、彼らなのである。
ヒープにはいわゆるカリスマ的スタープレイヤーがいない。これもひとつ失速を早めた理由ではある。ハードロックバンドにはギターヒーローがつきものであるが、ミックボックスは特徴の少ない地味なギタリストであるし、ケンヘンズレーもロックキーボード奏者として草分けではあるがテクニック的にはDパープルのジョンロードに見劣りがする。デビッドバイロンはスター的存在ではあるが、上記の3バンドの強烈なカリスマ的ボーカリスト達に比べるとひいき目に見ても見劣りすると言わざるを得ない。
そう、ヒープは個人技ではなく、総合力で勝負しているのである。ヒープはいくつかの特徴があってそれらの組み合わせでオリジナルティを確立している。
まずよく言われるのはコーラスワークである。メンバーのうちの4人あるいは全員唄える強みを生かして、コーラスをサウンドの重要な一要素として使っている点である。これはイエスとともにクイーンはじめ後進のバンドに大きな影響を与えていて現在でもそれは続いている。
これに線は細目だが、美しい声とハイトーンのファルセットボイスのバイロン、リードボーカルも担当するケンのセカンドヴォーカルも絡んで凝ったヴォーカリゼーションを展開している。
また楽曲も歌を重視していて、他のバンドのようなインスト/ソロパートは短くあくまで歌そのものを支える音なのだ。
次はキーボード+ファズギターのコードワーク主体のサウンドであることだ。上記のライバル3バンドがギターのリフ主導の音であるのに対し、分厚いコードサウンドによってメタリックな音の壁を作っている。またこれによってメロディラインもはっきりしたメロディアスな曲調となっている。うなるオルガンはオルガンハードロックといえるような音で当時のハードロックの中では際立っている。
もうひとつ、これはあまり語られないのであるがケンヘンズレーのソングライテシング力である。
ロックバンドは演奏テクニックの評価に偏重しがちであるがバンドの音楽性の根幹には一人であれ共作であれソングライテシングの能力が大きく存在する。ケンの憂いのあるメロディー、起承転結のある曲構成などはヒープサウンドの屋台骨となっている。このドラマ性はプログレッシブロックにも通じるもので、プログレ的と称される一因となっている。
ヒープの失速はケンの脱退も大きい。私もケンが脱退した時点で興味が急速に失われてしまった。
ドラマーが固定しなかったせいもあってリズムセクションはちょっと弱いがシャッフル系の疾走感のあるリズムに特徴がある。また黄金期のベーシストゲイリーセインはメロディアスなベースラインを特徴とするプレイヤーで目立たないけれど個性派ベーシストではある。
そんな彼らのオリジナリティが確立したヒット曲「look At Yourself」この曲がDeepPurpleのInRockを追いかける形で72年に発表
ライブとスタジオでの性格が少々異なっている。スタジオでは知的で端正なプログレハードロックなのだがライブではラフなロックンロールバンド色が濃くなる。この辺も当時の日本のリスナーには意外であったらしく評判は芳しくなかった。
しかしデビッドバイロンを擁するライブパフォーマンスはグラム的な華麗さと猥雑さもあって、戻れるなら当時に戻って見てみたいものである。
彼らの特徴が2分に凝縮された代表曲「Easy livin/安息の日々」のライブ。
スタジオの凝縮感はないが、代わりに彼らの派手な面が見える。ハードロック曲としては珍しくソロパートがなく歌を大事にする彼ららしい曲である。ステージの主役はバイロンで、キザな動きも彼だと嫌味がない。落ちぶれた貴族の放蕩息子といった彼の風貌と美声は大好きであった。そしてバイロン在籍最後のアルバム「High and mighty」では、その唄い上げる歌唱力が堪能できる。このバイロンの姿はもう見ることができない。(続く)
by kitaibunshi-ms
| 2010-09-29 13:07
| 音楽